© NAKAMURA SHOKAI

家族のあと、南角にて

中古戸建 / 葉山町長柄 / 2,780万円

家族のあと、南角にて

中古戸建 / 葉山町長柄 / 2,780万円

家族のあと、南角にて

葉桜団地の中に、南へ顔を向けた角の家がある。

南西と南東。
二つの道に接しながら、家は静かに立っている。

角地という言葉は、不動産の世界ではよく使われる。
道路が二方向にある。
開放感がある。
陽当たりがよい。
建築計画がしやすい。

そんなふうに、条件として語ることはできる。

けれど実際にその場所に立ってみると、角地というものは、ただの条件ではないのだと思う。

風が抜ける。
視線がほどける。
道の気配が少し広がる。
そして、家の表情が一方向だけで終わらない。

この家もそうだった。

南側に角を持つ土地は、どこか顔つきが明るい。
朝から昼へ、昼から夕方へ。
時間の移ろいが、土地の上をゆっくり歩いていく。

建物が古くなっても、庭木が育っても、住む人が変わっても、光の入り方だけは、
その土地が持っている性格として残り続ける。

葉桜団地という場所

家族のあと、南角にて

葉桜団地は、葉山の中でも少し独特な場所だと思う。

海沿いの葉山とは違う。
御用邸の周辺とも違う。
一色や堀内のような、海辺の華やかな気配ともまた違う。

ここには、住宅地としての落ち着きがある。

坂があり、バス停があり、昔からの家々があり、日々の暮らしがちゃんと地面に根を張っている。

葉山と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのは、海かもしれない。
夕陽かもしれない。森戸や一色の景色かもしれない。

けれど、葉山の暮らしは海だけでできているわけではない。

坂の上の住宅地にも、葉山らしさはある。

駅へ向かうバスの時間。
朝の通学路。
夕方の買い物帰り。
玄関先で交わされる挨拶。
少し古い塀や、生垣や、庭木の影。

派手ではない。
けれども、呼吸を感じる。

暮らしというものは、たぶんこういう場所で静かに深くなっていく。

家族のあと、南角にて
家族のあと、南角にて

バス便の暮らし

ここは駅から歩いて完結する暮らしとは少し違う。

JR逗子駅や京急逗子・葉山駅から、バスに乗る。
町の中心から少しずつ離れ、坂を上がり、住宅地へ入っていく。

バス便というと、不動産の条件としては少し控えめに見られることがある。
けれど、このあたりの暮らしにおいて、バスは単なる移動手段ではない。

駅と住宅地をつなぐ、日々の線である。

朝、駅へ向かう人がいる。
夕方、買い物袋を持って戻ってくる人がいる。
学生が乗り、親子が乗り、長くこの町に暮らしてきた人が乗る。

そのバスの時間の中に、葉桜団地の生活感がある。

便利さだけで場所を選ぶなら、もっと分かりやすい場所がある。
けれど、暮らしは便利さだけでは続かない。

静けさ。
風の通り。
道の幅。
光。
山並み。
近くを歩く人の気配。
庭に立ったときの空の広さ。

そういうものが、毎日の気分をつくっていく。

長柄桜山古墳群と、長柄の時間

この場所には、もう少し古い時間の層もある。

長柄桜山古墳群。

葉山町長柄と逗子市桜山にまたがる丘の上にある古墳群で、地域の歴史を今に伝える場所である。

この存在を知ると、長柄という場所の見え方が少し変わる。

普段、私たちは住宅地を住宅地として見ている。
区画。
道路。
宅地。
建物。
バス停。
学校区。
スーパーまでの距離。

もちろん、それらは暮らしに直結する大切な条件である。

けれど、その土地の下には、もっと長い時間が流れている。

人が丘に上がり、海を見て、山を見て、風の通る場所を選び、そこに何かを築いてきた。その記憶のずっと先に、今の住宅地がある。

葉桜団地は、住宅地として整えられてきた日常の場所でありながら、周囲には長柄桜山古墳群のような古い時間の気配も残している。

この重なりを言葉にできていない。

新しいものだけでできている町ではない。
古いものだけが残っている町でもない。
丘の上に、古い時間と、昭和の住宅地の時間と、今の暮らしの時間が重なっている。

山並みの景色

海の近さとは少し違うところ。

家々の向こうに山並みがある。
坂の途中で、ふと視界が抜ける。
空が広く見える場所がある。
風の通り方に、丘の住宅地らしさがある。
人が住んでいるという安心感がある。

葉山の景色というと、どうしても海が主役になりやすい。

けれど、長柄のあたりには、山の葉山がある。

海の葉山が「開く」場所だとしたら、長柄の葉山は「整う」場所なのかもしれない。外へ向かうというより、日々を落ち着かせていく。
派手な景色ではないけれど、毎日の中にじわじわ効いてくる景色がある。

この家の南角という条件も、そうした山の葉山の空気を受け止めているように感じる。

家族のあと、南角にて
家族のあと、南角にて

南西・南東に開く角地

南に向いていること。
角にあること。
二方向の道に接していること。

それは、建築的な自由度だけではなく、暮らしの感覚にも関係してくる。

玄関をどちらに向けるか。
庭をどこに取るか。
光をどこから入れるか。
車の出入りをどう考えるか。
道との距離をどうつくるか。

土地の形は、暮らし方に静かに影響する。

だからこそ、南側の角というのは強い。
単に陽当たりが良いということ以上に、暮らしの選択肢が増える。

土地の広さは約50坪。
葉山の住宅地の中では、ちょうどよい余白を持った大きさだと思う。

大きすぎず、小さすぎず。
庭を考えることもできる。
車を考えることもできる。
建て替えを考えることもできる。
そして、今ある家をもう一度見つめ直すこともできる。

家族のあと、南角にて
家族のあと、南角にて

昭和45年築の軽量鉄骨の家

新しい家ではない。

もちろん、今の住宅性能や設備の感覚で見れば、手を入れるべきところはある。
断熱性、設備、内外装。
これから暮らす人が、きちんと確認し、判断し、必要に応じて手を加えていくべき建物だと思う。

それでも、この家を見たときに、ただ「古家」とだけ言ってしまうのは少し違う気がした。

古い家には、古い家にしか持てないものがある。

それは、単に柱や梁や建具のことではない。
家族がそこで朝を迎え、食卓を囲み、庭を眺め、季節を越えてきたという事実のことだ。

不動産の資料には、土地面積や建物面積、築年月、用途地域、建蔽率、容積率が並ぶ。
それらはもちろん大事だ。
取引において、数字は地図のようなものだから、なくてはならない。

けれど、数字だけでは見えてこないものがある。

たとえば、家に残る空気。
階段の幅。
窓から入る光。
かつて誰かが大切にしていたであろう庭や設備や家具。
使い込まれた玄関アプローチ。

その家に長く人が暮らしてきたという、言葉になりにくい気配。
これを感じるのが不動産探しの醍醐味。

家族のあと、南角にて
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家族のあと、南角にて
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建て替えるか住み継ぐか

住み継ぐ。
手を入れる。
一部を直す。
しばらく使いながら考える。
いつか建て替える。

そういう、暮らしながら答えを探すような余白がある。

家は、完成した瞬間が一番偉いわけではない。
むしろ、時間が経ってから見えてくるものがある。

住む人の癖が染み込み、家具の置き方が変わり、庭木が伸び、家族の年齢が変わり、必要な部屋の意味も変わっていく。

新築には新築の美しさがある。
けれど、古い家には「すでに時間を知っている」という強さがある。

合う人、導かれる人

古い家を見ることができる人。

時間の跡を、欠点だけではなく魅力として受け取れる人。
すぐに答えを出さず、家と対話しながら暮らしを整えていける人。
葉山の海だけではなく、長柄の山や丘の気配にも惹かれる人。

そういう人にとっては、この家はきっと面白い。

建物を残すにしても、残さないにしても、ここには考える余地がある。

たとえば、今ある家に手を入れて、少しずつ住み継いでいく。
たとえば、数年暮らしてから、建て替えの計画を考える。
たとえば、庭や角地の開放感を活かして、家族の集まる場所をつくる。
たとえば、古い家の記憶を一部だけ残して、新しい住まいに引き継ぐ。

住まいには、正解が一つだけではない。

むしろ、その人の暮らし方によって、同じ場所でもまったく違う答えが生まれる。

何が残っているのか

古いものの中に、ただの劣化ではない何かを感じる。

時間が積み重なったものにしか出せない表情。
新しく作ろうとしても、簡単には作れない空気。
暮らしが重なった場所に生まれる、少しだけ柔らかい気配。

古い家は、壊される前に一度だけ、次の人を待つような表情を見せることがある。
この家も、そんな顔をしているように思う。

家族のあと、南角にて

物件詳細

物件種別
中古戸建
所在
三浦郡葉山町長柄
交通
JR横須賀線「逗子」駅 バス10分「葉桜」(※始発)停 徒歩2分
土地面積
165.86m2
土地面積(坪)
50.17坪
建ぺい率
50%
容積率
100%
建物面積
97.23m2
間取り
3LDK
土地権利
所有権
地目
宅地
建物構造
軽量鉄骨
築年月
1970年(昭和45年)4月
施設
公営水道, 本下水, 都市ガス
用途地域
第一種低層住居専用地域
都市計画・
法令制限
まちづくり条例, 景観法, 接道と段差有, 崖上につき建築制限有
取引態様
仲介(一般媒介)
引渡日
相談
情報登録日
2026/06/28
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